アンスリウムレッドクリスタリナム(Anthurium Red Crystalinum)のあれこれ
アンスリウムにはたくさんの魅力的な品種があります。特に、アンスリウムを集め始めた人にとって、最も気になる品種がアンスリウムレッドクリスタリナム(Anthurium Red Crystalinum)ではないでしょうか。
この品種は、その名の通り、葉脈が赤に染まるクリスタリナム。普通のクリスタリナムも良いですが、レッドは漂う雰囲気が高貴...明らかに違う...。
これは私のコレクションです。こんなに小さいときから、すでに新葉は赤く、葉の付け根、葉脈にかけて赤い色合いが入ります。特に、生育中期から後期には紫色の新葉が現れ、格別ですね。
ちなみにこの品種、残念ながら、日本はもちろん、世界的にも詐欺が多い品種で有名。このくらいの中株サイズで、アメリカで約500ドルくらい〜というイメージ。それ以下は偽物と考えるのが無難です。
また、レッドはアメリカの品種なので、インドネシア経由の植物や植物店での購入は特に注意したいところ。基本的にインドネシア経由のレッドはすべて偽物と思って良いですね。もちろん、インドネシアには誠実なセラーもいますが、輸入コストなどがかさむため、その価格は800ドル程度〜に跳ね上がります。これを日本に持ち込んで販売するというのは現実的ではありません。
3万円くらいで販売されていたとしたら、それはAnthurium Red Veinという別品種で、アメリカで30ドルくらいで販売されているものと思って間違いありません。待てど暮らせど、葉の付け根しか赤くはならないです。詳細は動画を参照してください。
とはいえ、日本はアメリカからアンスリウムを輸入できませんね、禁輸なので。基本的には高嶺の花といえるでしょう。私もとある方法を使って輸入している(※もちろん密輸でない合法的なやり方)のですが、それをここで書くのも違うと思うので控えておきます
何が言いたかったのかと言うと、レッドはかっこいい。しかし、日本で販売されている3万円台〜4万円台程度のレッドは十中八九偽物です。あと、レッドを販売する際に農園名が書かれていないもの、これも怪しいです。
レッドは農園名にも価値があります。例えば、NSE、Tezuraなどがそれ。これらはアメリカの農園名で、作出元の名前です。ちなみに、レッドで最も有名なのはDocblock。これは本業が医者の変態育種家が作出したもので、年に数回新作が発売されます。
定価は450ドルですが、当然即完。これを日本で販売しようとすると、10万円程度にはなるでしょう。目安としてそのくらいを覚えておいてほしいですね。個人的には、レッドはバーバリーやシャネルなどのブランド品と同じだと思います。かっこいいと思うものを、法外な価格で購入する類です。
高級メゾンだって、売れ筋をセールに出したりしないでしょう。もし、他の店舗やサイトでセール価格で出ていたら、それはフェイクと考えるのが筋だと思います。騙すほうも悪いですが、騙される方も悪い...残念ながら、そういう品種でもありますね。とにかく、本物を購入したい場合は気をつけてほしいです。
アンスリウムの種子の保存方法について
アンスリウムの種子は、受粉後6〜7ヵ月で成熟し、色とりどりの果実が生成されます。各果実には1〜2個の種子が含まれていますが、仮に20個の果実が収穫できたとしたら、一度に植えて育てるのは、なかなか普通の人には難しいと思います。
そこで気になってくるのが保存方法ですね。ネットではアンスリウムの種子が長期保存できないという声を多く見かけますが、これは間違いです。
種子をジップロックの袋に入れて、涼しくて暗く、乾燥した場所に保管しておけば、後で使用することができます。この場合、すべての条件達成が重要ですが、要は種を眠らせる必要があります。一つでも条件を外してしまうと発芽してしまうか、種が死んでしまうので注意しましょう。
ちなみに、アンスリウムの種は鮮度が落ちると、たしかに発芽率が下がります。しかし、蒔種前に適切な処理をすることで、発芽率を一定キープすることも可能です。このあたりはまたの機会に触れます。
アンスリウムの種子、まき方や植え付け方法について
アンスリウムは原始的な植物です。雄しべと雌しべが同時に咲くタイプではないため、基本的に自家受粉は見込めません。このあたりはまた記事化しますが、今回はもしもアンスリウムの種が手に入ったとき、そのまき方や植え付け方をどうするのか紹介します。
まき方、植え付け
アンスリウムの種子をうまく育てるには、適切な植え付けと継続的なケアが必要になってきます。
まず、植え付けはフラットな密閉容器で行いましょう。育苗ポットなんかも良いと思います。最終的に培地は何でも良いのですが、個人的には水苔やバーミキュライトが良いと思います。
種子を植え付ける際は、バーミキュライトに軽く押し込み、2.5センチ程度の間隔を空けましょう。あまり近づけすぎるとカビ発生の原因になります。容器に蓋をすると、発芽が早くなりますし、水分を保つこともできます。
種を一粒ずつ植え付けることも良いのですが、個人的には面倒なので、暇なとき以外はバラっと感覚的にまいてしまいます。
一般的に、海外サイト等でも温度は21度程度が良いとされていますが、経験上あまり寒くなければ発芽します。必要に応じてヒートマット等を置くのも良いですが、その際もカビの発生には気をつけたいですね。
発芽後の管理
発芽後は、ケースのカバーを取り外して、成長に専念させましょう。適宜、必要なビタミンなどを与えると本葉が開くのが早くなると思います。この際、肥料(窒素、リン酸、カリ)を与えることはあまりおすすめしません。肥料やけのリスクがあるためです。本葉が開いたら、徐々にあげると良いです。
さらに、本葉が開いたら、苗木を個々の容器にそっと移し、個別に苗として成長させていきます。ここからは一般的な植物のケアと同じですが、植え込み用土には気をつけたいですね。このあたりはまた別途記事にします。